「あの人、プライド高いよね」
こんな言葉を、一度くらいは聞いたことがあると思います。
もしかすると、自分自身に対して、
「自分って、意外とプライドが高いのかもしれない」
と思ったことがある人もいるかもしれません。
では、そもそも「プライドが高い」とは、どういう状態なのでしょうか。
自信があること?
自分を高く評価していること?
負けず嫌いなこと?
実は、私たちが日常で「プライドが高い」と表現しているものの中には、自信とは少し違うものが隠れていることがあります。
それが、
「自分の弱さを見られたくない」
という気持ちです。
そして、その奥にはコンプレックスや劣等感が隠れていることがあります。
今日は「プライドの正体」について考えてみたいと思います。
自信がある人ほど、間違いを認められる?
少し想像してみてください。
仕事でミスをしてしまったとします。
そのとき、
「すみません。私のミスです」
と素直に言える人と、
「いや、でもあの人の説明も分かりにくかったので……」
と、すぐに理由を説明したくなる人。
どちらの方が自信があるように見えるでしょうか。
一見すると、自分を守ろうとする人の方が強そうに見えるかもしれません。
でも、実際には逆の場合があります。
自分の価値が一度の失敗では揺らがないと思えている人は、
「間違えました」
と言いやすい。
なぜなら、
「間違えた自分」と「自分自身の価値」を分けて考えられるからです。
失敗した。
でも、自分そのものがダメになったわけではない。
知らなかった。
でも、自分の価値がなくなったわけではない。
負けた。
でも、人生そのものに負けたわけではない。
こう考えられる人は、必要以上に自分を守る必要がありません。
プライドが傷つく瞬間を考えてみる
ここで、ちょっと自分自身について考えてみてください。
あなたは、どんなときに「カチン」ときますか?
人から間違いを指摘されたときでしょうか。
自分より年下の人から意見されたときでしょうか。
誰かと比較されたときでしょうか。
SNSで自分より成功している人を見たときでしょうか。
自分の知らないことを相手が知っていたときでしょうか。
あるいは、
「そんなことも知らないの?」
と言われたときでしょうか。
実はここに、自分を知る大きなヒントがあります。
なぜなら、
自分が強く反応するところには、自分が守りたい何かが隠れていることがあるからです。
たとえば、
「仕事ができないと思われたくない」
「頭が悪いと思われたくない」
「お金がないと思われたくない」
「魅力がないと思われたくない」
「人から下に見られたくない」
こうした気持ちが強いほど、その部分を刺激されたときに強く反応することがあります。
コンプレックスが「鎧」になる
コンプレックスというと、
「自分は背が低い」
「学歴がない」
「見た目に自信がない」
といった分かりやすいものを想像するかもしれません。
でも、もっと広く考えることができます。
「自分は認められていない」
「自分は大した人間ではないかもしれない」
「自分には価値がないかもしれない」
そんな不安も、人の心の奥に存在することがあります。
そして、その不安を見ないようにするために、
「自分はすごい」
「自分の方が正しい」
「負けてはいけない」
「弱みを見せてはいけない」
という鎧を身につけることがあります。
その鎧が、周囲から見ると「プライドの高さ」に見えることがあるのです。
だから、
プライドは強さの証明ではなく、自分を守るための防具になっている場合がある。
私はこの視点がとても大切だと思っています。
「自慢したくなる瞬間」もヒントになる
もう一つ面白い問いがあります。
あなたは、何を人に自慢したくなりますか?
収入でしょうか。
会社でしょうか。
肩書でしょうか。
学歴でしょうか。
フォロワー数でしょうか。
仕事の実績でしょうか。
ブランド品でしょうか。
知識でしょうか。
もちろん、人に成果を話すこと自体が悪いわけではありません。
嬉しいことを共有したいのは自然なことです。
ただ、
「これを言わないと自分の価値を分かってもらえない」
という感覚が強くなっているなら、一度立ち止まってみてもいいかもしれません。
なぜ、自分はこれを証明したいのだろう?
ここを掘っていくと、自分でも気づいていなかったコンプレックスが見えてくることがあります。
私たちは「自分の価値」を証明し続けてしまう
たとえば、
「仕事ができる自分」に価値を置いている人がいたとします。
仕事で成果が出ている間は、自信があります。
周囲から評価されれば嬉しい。
昇進すれば自信がつく。
売上が上がれば、自分には価値があると思える。
ところが、成果が出なくなると一気に苦しくなります。
なぜでしょうか。
仕事の成果と自分自身の価値が、くっついているからです。
だから失敗を指摘されると、
「仕事のやり方を否定された」
ではなく、
「自分自身を否定された」
ように感じてしまう。
すると人は、自分を守りたくなります。
言い訳する。
反論する。
相手を否定する。
他人の粗を探す。
自分より下の人を見つけて安心する。
しかし、これは本人の性格が悪いからとは限りません。
自分の価値が揺らぐのが怖くて、必死に守っている可能性もあるのです。
本当に強い人とは何だろう
では、本当の意味で自信のある人とは、どんな人なのでしょうか。
私は、
「自分の弱さがあっても大丈夫だと思える人」
なのではないかと思います。
分からなければ、
「分かりません」
と言える。
間違えたら、
「間違えました」
と言える。
負けたら、
「今回は負けました」
と言える。
できないことには、
「これは苦手です」
と言える。
誰かの方が優れていたら、
「すごいですね」
と言える。
これは簡単そうに見えて、意外と難しいものです。
なぜなら、自分の弱さを認めても自分の価値は変わらない、という感覚が必要だからです。
プライドを捨てる必要はない
ここで誤解してほしくないことがあります。
プライドそのものが悪いわけではありません。
自分の仕事に誇りを持つ。
自分の生き方を大切にする。
簡単に信念を曲げない。
自分自身を尊重する。
こうした意味でのプライドは、とても大切だと思います。
問題になるのは、
「自分の価値を守るために、他人より上でいなければならない」
という状態です。
「あの人より稼いでいる」
「あの人より仕事ができる」
「あの人より知識がある」
「あの人より成功している」
こうした比較によって自分の価値を確認していると、終わりがありません。
必ず、自分より上の人が現れるからです。
コンプレックスは、なくさなくてもいい
では、コンプレックスを克服しなければならないのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思います。
大切なのは、
「あ、自分はここを気にしているんだな」
と気づくことです。
たとえば誰かの一言にイラッとしたとき。
すぐに、
「あいつムカつく」
で終わらせない。
その前に一つだけ、自分に聞いてみます。
「なぜ、私はこの言葉にこんなに反応したんだろう?」
すると、
「能力がないと思われた気がした」
「バカにされたように感じた」
「自分より下だと思っていた人に指摘されたから悔しかった」
など、自分の本音が出てくることがあります。
ここまで分かれば、それだけでも大きな一歩です。
ちょっとしたワーク
最後に、簡単なワークをやってみてください。
最近、誰かの言葉や態度に「カチン」ときた出来事を一つ思い出します。
そして、次の3つを考えてみてください。
① 何を言われた、あるいは何が起きた?
② そのとき、自分は何を否定されたように感じた?
③ 本当は、自分の何を守りたかった?
3つ目が特に重要です。
「仕事ができる自分」
「人から好かれる自分」
「成功している自分」
「頭のいい自分」
「正しい自分」
何かが見えてくるかもしれません。
そこに、あなたが大切にしている価値観と、コンプレックスの両方が隠れている可能性があります。
最後に
プライドの正体は、必ずコンプレックスである。
そこまで単純な話ではありません。
でも、
過剰に自分を守りたくなるプライドの奥には、劣等感や不安が隠れていることがある。
この視点を持っておくと、自分の感情を少し違った角度から見ることができます。
誰かに指摘されてイラッとしたとき。
誰かの成功を見てモヤッとしたとき。
自分の実績を必要以上に語りたくなったとき。
そんなときに、
「なんで自分は、こんなに反応しているんだろう?」
と問いかけてみる。
そして、
「なるほど。自分はここを守りたかったんだな」
と気づく。
自分の弱さを認めることは、自分を否定することではありません。
むしろ、
弱さを隠すための鎧を、少しずつ脱いでいくこと。
それが、本当の意味で自分を強くしていくのかもしれません。
あなたが今、一番「人に見られたくない」と思っている弱さは何でしょうか。
もしかすると、その答えの中に、
これからもっと楽に生きるためのヒントが隠れているかもしれません。
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